| 第７章 プロテスト（五） テストを終えて、帰りの電車の中、腰が痛くて仕方なかった。ここ数日、ずっ と痛めていたから、座っていてもきつく感じられる。 翌日も、その痛みが続いていた。練習は行ってもできないだろう。だからジム へと足を運ぶことはなかった。 昼過ぎにジムへと電話をかける。昨日の結果を聞こうと思ったからだ。しかし まだ、コミッションがやってないために結果は聞いてないという。しばらくの時 間が経過してから再びジムへと連絡を入れる。 「残念だったねぇ」とマネージャーがいう。「駄目だったんですか」「自信あっ たの」「自信というか、それなりには…」まあ仕方が無い。声に落胆の色はみえ なかったはずだ。そんな結果もありだろうと前から考えていたからだ。 「うっそだよ〜」受話器から聞こえてくる声に、思わず胸が高鳴った。「おめで とう」実感が湧いてくる。試合をやった２１歳の時以来、８年振りにプロボクサ ーというモノを得た。嬉いという言葉だけではない。何とも言い難い、けれども 飛び上がる思いでいたことは確かである。 フィットネスジムに通い出してから２年。やっとの思いだったが、短くも感じ られた。すぐに、応援してくれた人や、伝えたい方々へとメールを送った。 ずっとおかしいと思っていた目も、病院に行って大丈夫だと言われた。普通は 気づかない症状らしいが、弱虫の私は心配のあまり気づいてしまったのだろう。 自分なりにもがいてみよう。 そう思ったのはいつからだろう。 やれる事をやる勇気…、いや違う、単なるわがままだ… でも、私は自分がしっかりしていなかれば、周りの人たちの存在もないもので あると、勝手な考えをもっている。 自分がしっかりしなければ…。 しっかりなんかしていない、けれども今、生きている。 私は生きているし、生きているからこそ、肉体的にも、精神的にも痛みを感じ 取り、それを糧にして行ける。 誰もができることだと思う。 たった一歩、いや半歩でもいい、前に進んでみよう。 後ろに下がることで得られるものはないのだから、 時とともに動いてみよう、生きているから動けるのだから…。 自分を生かすために、 自分を活かすために、もう少し… もう少し、もがいてみようと思う。あがいてみようと思う。 それが、私の生き方であり、私の人生なのだから、 ＰＳ、色々な面で支えてくれる皆様がたに感謝！ 試合ができるように、もうしばらく「もがい」てみます！ ２００４年３月１１日 祓川雄次 |