| 続もがく事 決断（四） ライセンスも更新して、本格的にトレーニングを始めることにしたのだが、いまだ 体重は落ちていかない。５９キロ台に落ちたと思うと、すぐに６０キロを超えてしま う事が多々ある。そんな中、腰痛がきてしまった。忘れもしない、２月末の練習でで ある。 普段ならば腰にバンドを巻いて動いているのだが、それを忘れてしまった中での練 習であった。高校生とのマスボクシングをやっていたのだが、体の動きは良かった。 めずらしくダッキング、ウィービング、スエーなどを使ってびっくりするくらいにパ ンチをもらわないで進んでいく。いいパンチも当てていた。しかし、リングを降りて すぐに、自分の腰に違和感を覚えた。そのまま練習を切り上げ、しばらくの間、ジム ワークを休むことにしたのだが、一向に腰の様子は良くならない。 一週間がすぎ、フィットネスのシェイプアップボクシングくらいならばできると思 い動いてみたのだが、途中で腰の痛みに耐えられなくなってしまった。そのまま、ダ ラダラとした日々が続いた。ジムへと行きたい気持ちはあるのだが、腰がその意思を 妨げる。煮え切らない気持ちが酒に走る原因になってしまっていた。 体重の超過はあまりない。６２キロくらいを保っているのである。 ボクシングを続けるべきか、否か…。 それに悩んでいる時であった。ある先輩から、昼の仕事をしないかとの誘いを受け た。それは一種の転機だったかもしれない。仕事に誘われるという事は、それなりに 認めてもらっていることだと、勝手ながら解釈してしまった。だったら、ボクシング をやめて、一度、仕事をしてみようと思った。 そう決断してからは早かった。ジムへもちゃんとお世話になった挨拶に行かなけれ ばと思っていた。そんな思いの中、飲みにいってしまったら、帰り際に、なんだか、 ボクシングをやめることに対してではなく、ジムやお世話になった人たちに対する感 謝の気持ちでいっぱいになってしまい、思わず涙が流れてきた。続けられる体であっ たならばまだまだ続けたいと思ったが、いたずらに身体をいじめてもどうしようもな いと思ったからこそ、身を引いた。ボクシングはボロボロの身体で続けられるほど甘 い物ではない。 ４月から新しい生活がはじまった。 もうボクシングジムへと通うことはないだろう。今持っているライセンスも使うこ とはないだろう。 しかし、私の中ではかけがえの無い思い出である。そして、ライセンスを再び取れ たことを自分の誇りにして違う方面で生きて行こうと思う。 まだまだ、もがく事は続くのだから…。 |