| 酒とは、アルコール（エチル・アルコール）を含む飲料の総称である。 日本では、酒税法が酒の定義を決めている。 「酒類とは、アルコール分１度以上の飲料をいう」とある。 |
| 種類 | 品目 | 定義 |
| 清酒 | 米、米こうじ、水を原料として発酵したもの | |
| 米、米こうじ、水、その他の物品を原料として発酵させたもの | ||
| 合成酒 | アルコール、しょうちゅう、ブドウ糖を原料として製造した酒類で 清酒に類似するもの |
|
| しょうちゅう | 甲類 | アルコール共有物を連続式蒸留器で蒸留したもので、アルコー ル分３６度未満のもの |
| 乙類 | 連続式蒸留器以外で蒸留したもので、アルコール分４５度未満 のもの |
|
| みりん | 米、米こうじにしょうちゅう、またはアルコールを加えたもの | |
| ビール | 麦芽、ポップ、水を原料として発酵させたもの | |
| 果実酒類 | 果実酒 | 果実を原料として発酵させたもの |
| 甘味果実酒 | 果実酒に糖類、ブランデー、糖を混和したもの | |
| ウイスキー類 | ウイスキー | 発芽させた穀類、水を原料として、糖化させて、発酵させたアル コール含有物を蒸留したもの |
| ブランデー | 果実、水を原料として発酵させたアルコール含有物を蒸留したも の |
|
| スピリッツ類 | スピリッツ | 清酒からウイスキー類にまで該当しないで、酒類のエキス分２％ 未満のもの |
| 原料用アルコール | アルコール含有物を蒸留したものでアルコール分が４５度を越え るスピリッツ |
|
| リキュール類 | 酒類と糖類を原料とした酒類でエキス分２度以上のもの | |
| 雑酒 | 発泡酒 | 麦芽を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの |
| 粉末酒 | 溶解してアルコール分１度以上の飲料とすることができる粉末状 のもの |
|
| その他の雑酒 | 上記のいずれにも該当しないもの | |
| アルコール発酵について ①アルコール発酵 酒の主成分であるアルコールは、数多いアルコール類の中で、エチル・アルコールと呼ばれる ものを指している。そしてエチル・アルコールは微生物の一種である酵母によって、ブドウ糖、 果糖といった糖分から生成される。 Ｃ6Ｈ12Ｏ6 → ２Ｃ2Ｈ5ＯＨ ＋ ２ＣＯ2 （ブドウ糖、果糖） （エチル・アルコール） （炭酸ガス） 基本的に「酵母によって、糖がエチル・アルコールと炭酸ガスに分解」される。これがアルコ ール発酵である。理論的には１００Ｋｇの糖から、約５１，５Ｋｇのエチル・アルコールが生成 される。エチル・アルコールの比重は０，７９２だから、先の数字を容量に直すと、約６３，３ リットルとなる。しかし、酵母が繁殖のためのエネルギーを使うために、一般的には５０～５５ リットルのエチル・アルコールが得られる。 酵母は、果実や糖蜜のような糖質原料に対しては、ただちに発酵作用を始めることができる（ 単発酵）。だが、酵母自体には糖化酵素がないので、米、麦、トウモロコシなどの穀物や、さつ まいもなどのデンプン質を主成分としたものは、発酵前にアミラーゼという糖質分解酵素を利用 して、デンプン質をいったん糖質に変えなければならない（複発酵）。 西洋では麦芽中の糖質分解酵素を利用し、東洋では麹のようにカビが造り出す糖質分解酵素に よってデンプン質を糖化させる。そのため、西洋＝麦芽文化の所産、東洋＝カビ文化の所産と言 われる。 エチル・アルコールが発酵によってアルコールが高くなってくると、酵母の活動は弱まり、ア ルコールを生成できなくなり発酵は停止する。停止する濃度は酵母の性質によって異なるが、一 般的には１５～１６％くらいのアルコールが生成された時点で停止する。清酒は特別の醸造法を とるためにアルコールが２０％を超える場合もある。 |
| 蒸留の原理と蒸留器 発酵によって生まれた酒のアルコール濃度を高くする場合に、蒸留が用いられる。 水を加熱していくと、１気圧のもとでは１００℃で沸騰し、液体から気体に変わる。冷却をす るともとの気体から液体へと戻る。エチル・アルコールの沸点は水よりも低い７８℃くらいであ り、エチル・アルコールを含んだ液体を加熱していくと、先にエチル・アルコールを多く含んだ 蒸気が発生する。この蒸気を冷却していくと、蒸留前のアルコールよりも濃度の高い液体を得る ことができる。このように沸点の違いを利用して、液中にある成分を濃厚にして分離することが できる。これを『蒸留』という。 蒸留の技術は１９世紀になるまで、基本的には簡単な釜で行われてきた。 まずは発酵させた液体（日本では「もろみ」という）を釜に入れ、下から加熱し、もろみを沸 騰させ、高濃度のアルコール溶液を造り出す。もろみの１／３くらいの量が蒸発すると、釜の中 の液中のアルコールはゼロになるので加熱をやめ、釜の中に残った液体を廃液として処理する。 １回ごとに釜へ仕込をするので、この方式で蒸留する装置を単式蒸留器（Ｐｏｔ ｓｔｉｌｌ， ポット・スティル）と呼ぶ。 |