| 第四章 紆余曲折（三） 耳が治ったと思ったら、また巻き爪の脅威がやってきた。左足親指がうまくい っていなかったらしい。またまた血まみれになっていく足を確認しながら、もう 一度手術をするしかないと決心していた。幸い、まだ「プロテスト」の話は出て いないのだから、今しかなかった。 今一度、新宿の病院へと足を運ぶ。今回は片足であるために、入院する必要も なかった。それがせめてもの救いであった。前回に行っているので、手術に対し ての抵抗も無く、難なく事は運ばれた。しかし、それによって、約二週間の間、 練習ができなくなるのである。再び、体重は戻る傾向に向かう。 一時は、平常時で６０キログラムを切りそうだった体躯もそれを阻まれてしま う。けれども極端に増えることはなかった。 ボクシングジムに行くと、一気に練習量が増えてしまうという懸念もあり、し ばらくの間、フィットネスでの練習に切り替える。たかが二週間…されど二週間 であった。体力が落ちていることに気が付くのだが、何ともいえない。けれども 運動をしないことにははじまらない。ここで焦ってしまっても仕方が無い。 そんな思いもあってか、ノンビリと練習をこなしていく。そして、一定レベル の練習ができるようになると、再びジムでの練習を再開する。随分と暑くなって きたこともあり、ウイウンドブレーカーの中に着ていたトレーナーを着ることを やめた。何だか動きやすくなった感のある身体は、再びスムーズに動くようにな ってきた。体脂肪も随分と減ってきた。けれども、足の太ももあたりについた脂 肪はなかなか落ちてはくれなかった。この部分が落ちてくれたらば、どれだけの 体重が減るのであろう。この頃からであろうか、いつでも体重を気にするように なったのは…。 バーでありながらも、自分の店には、体重計が置かれ、常連客には散々に突っ 込まれたりもしたが、 |