| 第四章 紆余曲折（四） 足も治り、夜、仕事を終えてから走ることが多くなった。まあ、走るといって も５キロメートルくらいであるから、大した距離ではない。それでも走っていな いよりはマシである。 この頃、会長から、身体検査に行ってこいと言われるようになった。身体検査 といっても、普通に行われるものに毛が生えたようなものである。それでも、そ の検査を受けるということは、プロテストの願書を提出する前提のものになる。 いよいよ…。ジムに通いだし、復帰を心みてから約一年…。長いようで短い期間 であった。嬉しさと共に、このままで大丈夫なのであろうかという不安が持ちあ がってくることは言うまでもなかった。相変わらず会長にはスタミナ面での不安 を嫌というほど言われていた。走ることもし始めて、何とか、解消ができればと 思っているときに、ふと背中に痛みを感じはじめた。それほどのものではない。 だから、しばらくすれば治ると勝手ながら思っていたのだが、なかなか治る気配 がない。それどころか、痛みは増すばかりである。シェイカーを振る作業だけで も息を思わず止めてしまうほどである。単純な背筋痛なのだが、あまりにも痛み が激しいために、再び練習を休むはめになってしまった。 １ヶ月、まるまるジムワークを休んだ。その間、まるっきり運動をしていなか ったわけではない。多少水泳と、ストレッチを繰り返す。身体の硬い私は故障に 悩まされすぎである。だから、少しでもストレッチをこなすしかないと思われた。 夏場で良かったことは、運動をしていないにもかかわらず、体重の増加が少な い事だ。それでも、減る事はない。今まで運動によって体重を減らしてきている のだから、夏場の暑さだけではどうすることもできなかった。 ２００３年、８月。まるまる休みを取った。１ヶ月の休みをどのように思い、 埋め合わせていくか、そんなことを暑さの中で考えざるおえなかった。 |