| 第６章 何とかなる（一） テストの申し込みを出してから、気合の入った練習をすることが自然と多くな った。やはり目的意識があるのと無いのでは、何事においても違ってくるのだろ う。 そして、体重のことも気になってしまう。テストの申請をする前に行われた身 体測定時では平常時で５９キログラム。身長１６２センチメートルの私としては 重たいほうである。階級を考えてみても、背の大きな選手と当たることが多くな るので、多少の不利な状況も出てくる。元ボクサー時代は平常時で５６、７キロ グラム。後２キログラムで良いから何とかしたかった。 自らの年齢と、カロリーなどを知り合いに相談して食事量を減らしていく。極 端ではないからそれほど厳しいものにはならない。ただ、白米の量を減らしてい くのは、私としては厳しいものがあった。 練習の前後に乗る体重計も、店の開店閉店時に乗る体重計も、脅迫観念めいた 部分がある。本人としては重く考えているものではないにせよ、数値が出てくる ものであるから、気にならなくはない。 １００グラム、２００グラムといった単位が気になってくる場合もある。ジュ ースを買って飲んだら、今、何グラム太るなどと、妙なところが気になってしま う。嫌なものだ。当然、店では目の前で、お客さまがたが酒をあおる。自分も飲 みたくなってしまう。まるっきり飲まないわけではないが、依然と比べれば量は 減っているほうである。まあ、大酒のみであるから減らすと言っても、他者から 比べれば、まだ多いほうかもしれなかった。 軽い減量であったが、効果は出てきていた。少しづつではあるが、体重が減っ てくるのがわかる。ただ、左足の腱を痛めてしまい、走ることができない。足腰 の弱い私が、走ることができないのだから、致命的である。 けれども、ジムワークで何とか、足腰を鍛えるように仕向けていった。その成 果もあってか、体重が減っているからか、定かではないが、身体が軽く感じられ るようになってきた。スパーリングもまずまずのできである。 ２００３年、１２月。まだ、テスト日は決まらない。けれども、気持ちは充実 していた。年の瀬であった。 |